New York, NY, USA
June 2000
English version
JFK空港からつながる高速道路を走るイエロー・キャブの車窓から外を眺めると、遠くにマンハッタンの摩天楼の明かりが暗闇に浮かんでいる。私は、宿泊予定のホステルの住所を運転手に説明でき、ほっと一息つくと、レンタルの携帯電話を持ち出し、ホステルに到着時刻の連絡を入れた。 着いた、NYに。そしていよいよ明日からは待ちに待ったデヴィッド・ボウイのコンサートが、ブロードウエイの華やかな町並みに隠れたライブハウス、ローズランドで行われる。16、17、19日といういささかハードなスケジュールだ。6月15日
部屋のベッドの上でくつろいでいると、新しいルームメイトが入室し、私を見るなり、叫んだ。6月16日
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コンサートの途中に、彼が少し私に微笑んでくれたような気がしたが、やっぱり気のせいだろうか。 |
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Encore 1
Encore 2
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6月18日
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集まった人は皆、BowieNatのメンバー
さて、私達は食事を済ませ、「フェイセズ・アンド・ネームズ」で夜の談笑を持った。私はこの日初めてチェリーに邂逅することができた。帰りにローズランドに立ち寄ったが、そこには既に列が出来ていて、漫画家のイセングリンはなんとホテルから布団を盗みだして外泊中だった。
「10代の野生サイト」のホスト、イヴアン・トーリ氏主宰のパーティ会場となった「フェイセズ・アンド・ネームズ」にあった似顔絵
ピクニックが終わり、各グループに一度別れて、夜に又「フェイセズ・アンド・ネームズ」で会う事になった。エセックス・ハウスに向う道を辿りながら、会話を楽しむ私達。その近くまで来ると、シモネが向うから現れた。彼女は16日にスタジオを出入りするデヴィッドを捕まえて得たサインや、16日に撮った写真をみんなに見せた。彼女によると、もうデヴィッドはエセックス・ハウスには住んでいないようだとの事だった。又もやられてしまった。せっかく写真を一杯撮ったのに。まあいいか。デヴィッドが最も愛するボウイネットのメンバーの一人の黒人のチェリーが言ったことによると、彼らは引っ越して、どうやら現在はソーホー近辺に住んでいるらしいとのこと。残念! とうとうこの日が来た。私は、「ミート・アンド・グリート」に特別招待されたが、それにもう一人招待客を誘えないかどうかハワードに頼んでいた。ハワードは、「ひとりだけだよ。」と快く引き受けてくれた。私は前からの約束だったので、シモネを迷わず誘った。彼女は嬉しそうだった。列の先頭では、夜通し場所を取りつづけたイセングリンが、最後のメッセージボードを描きながら、皆にも書かせていた。私もそこに描き入れた。「今夜『チャイナ・ガール』を歌う時には、私の方に向って『シーッ!』て言ってね。」 夕方までに両親へのお土産の買い物を済ませた私は、列に戻り、シモネを探した。シモネが裏口でデヴィッドが来るのを待っていると聞き、そちらに向った。そこには彼女のほかにも大勢のファンが彼の到着を待っていた。しばらくすると、デヴィッドが到着した。皆が騒いで集まってくる。すると彼は何と「シーッ!」と人指し指を口に当てながら、楽屋に向っていった。オーマイゴ! 彼を見届けると、私はシモネを連れて窓口に戻った。ハワードが待っていた。手首に招待客用のバンドを締めてもらい、指示を仰いだ。ハワードは又もや私に小声で話した。彼の小声はいつ意味深だ。6月19日
「エリ、今日は招待客の席でコンサートを見られるよ。それと、これは本当かどうか分からないけど、デヴィッドが君をステージの上に乗せるつもりらしい。」
「エエッ!」私は信じ難い話に身を後ずらさせた。こんなことがあっていいのだろうか、しかも当日になって出演を依頼されるとは!もう私達にはこの日に、列に並ぶ必要もなければ人ごみにまみれる必要もなかった。私は余りに高ぶりすぎた興奮を押さえる為に、一度会場を離れ、人の少ない落ち着いたホテルのカフェに入り、爪のお手入れをした。こうすると気持ちが幾分落ち着いた。そうこうしている間に、シモネから電話がはいった。会場は混雑でごったがえしていた。ハワードの姿がそこには無く、私達はしばらくドアの前で立ち往生したが、今日の黒人ドラマーが話しかけてきたので、しばらく話を楽しめた。彼の奥さんが何と日本人で、子供が神戸にいるそうだ。 間もなく私達の為のラベルが与えられ、それを胸に貼りつけ、招待席へ案内された。招待席の前の方は、私達などよりもっと偉い人用にとって置かれていたので、私達は後ろの方のテーブルに座るよう指示された。少し後ろの方すぎたので、私達は戸惑ったが、席に座らなければ、取材の邪魔をしない限りどこに立っても良いという事なので、私は招待席の前の方の立ち見をえらび、シモネはなんといつもの自分の持ち場である雑踏の中の前の方の位置に入って行った。私は、係員に、「アッシェズ・トゥ・アッシェズ」が始まったら席に戻るように言われた。 私は隼人さんを探していたが、とうとう見つけられなかった。 そして開演した。デヴィッドの話す内容以外には、最初はそれほどセットリストに変化は無かったが、笑えたのが、デヴィッドのセイラー服模様のトレーナーだった。チャットのニックネームから着る服を決めたらしい。デヴィッドらしいお茶目な衣装だ。 数曲が終わり、「アッシェズ・トゥ・アッシェズ」が始まったので、私は係員に率いられステージの袖に行った。そこでこの曲が終わるのを待った。次の「ジャン・ジュネ」が始まると、デヴィッドが着替えに楽屋に入っていくのが見えた。すると私は舞台の端の階段を上って待つように言われた。しばらくしてデヴィッドが白いシャツに着替えて戻って来た。歌の合間にデヴィッドが私の方に向き、「待て」と言うように手を挙げた。すると、ゲイルも私の方に向いて微笑んだ。私はこの位置で、彼が次の曲の「クラックト・アクター」を終えるまで待った。
「ドアが開いたわよ!」
「分かった、すぐ行く。」
私は急ぎ足でローズランドに向った。会場が沸く。凄い人数だ。眩暈がする。私は追い詰められた様に語り始めた。
David & EriWildeデヴィッドが語り始めた。
「やあ、ボウイネッター!」
会場全体に歓声が響き亘る。
「今日は、ボウイネットのメンバーを紹介するよ。東京からはるばる来てくれたんだ。こちらはエリ・ワイルド!」(ErikoWildeさんのことはteenagewildlifeの19日付のニュースの欄でも取り上げられました。) 私は扇子を扇ぎながら優雅に(なつもりで)デヴィッドの方に歩いて行った。彼が私にお辞儀をしたので、わたしも合わせてお辞儀した。
「やあエリ、はるばるどうもありがとう。皆に話してくれよ。」
デヴィッドは私の肩を左腕で抱き、話し始めた。
私はチャットルームに入った時のように軽快に挨拶した。
「ハロー、皆さん!」
「殆どの皆さんは、もう私のことを、ボウイネットの掲示板やチャットルームでご存知と思います。私は、緑色の眼鏡をかけた女の子として知られています。又、今日ここでチャイナ・ドレスを来ている筈の女の子としても知られています。でも、ひとつだけ、誰も予期しなかった事があります。私はこの計画について何も知らなかった。私がデヴィッドと一緒に舞台に上がるなんて!」会場が拍手喝采の渦に巻き込まれた。
「ありがとう、エリ。もっと楽しもう。又後でチャットルームで会おう。じゃあね。」
デヴィッドが私の額にキスをして私の左肩から手を外したので、私はステージから降りた。バックステージのメンバーが、笑顔と賞賛で私を見送ってくれた。 デヴィッドの声の調子が懸念されていたにも拘わらず、この後もコンサートは順調に続き、彼はこの日の目玉である60年代の曲の再アレンジを発表した。曲目は、「アイ・ディグ・エブリシング」と、「ロンドン・ボーイズ」だ。特に後者では、ゲイル達がクラリネットのイントロで曲のクラシックな雰囲気をかもし出すという演出がなされ、会場は過去のデヴィッドへの思いに浸った。素晴らしい出来だった。 2回のアンコールも無事に終わり、デヴィッドはステージを去った。去る直前に、招待者席に向って彼が「グッバイ・ダーリン!」と叫んだが、これはこちらに座っていた奥さんに向って言った言葉らしかった。その時は私はまさか自分の後ろに奥さんがいらっしゃるとは知らなかったので、後でそれを聞いて驚いてしまった。気づいていれば挨拶していたのに…。残念無念。コンサートが終わり、いよいよ「ミート・アンド・グリート」の時間になった。私達は列を作って準備が出来るのを待った。そして舞台裏に向った。舞台裏には、黒幕が掛けられ、中が見えないようになっていた。中からデヴィッドの声が聞こえてくると、私の胸は高鳴った。MD録音の用意をする手が震える。ゴーサインが出たので、黒幕をくぐって中に入った。そこではデヴィッドと先に入っていた人達が楽しく会話していた。その後ろで、サインを貰う予定のバスキアのCDカバーをカバンから取り出したり、お土産を出したり、あくせくした。デヴィッドに渡すように誰かに頼まれたCDを何度も床に落とした。そして用意ができ上を向くと、デヴィッドも前の人達との挨拶を済ませようとしていた。 デヴィッドはほっとしたような笑顔で私を見た。今までブラウン管やスクリーンを通してしか見たことが無かった笑顔を、しかも、私だけの為の笑顔を、何の媒介物もなく見上げた。デヴィッドと私は互いに歩み寄り、しっかり抱き合った。デヴィッドの唇が私の右頬を触れ、私も少し戸惑いながら彼の頬に唇を当てた。デヴィッドの唇がかすかな音とともに離れたので、私も彼から身を放した。
Set List:
- Wild Is The Wind
- China Girl
- Changes
- Stay
- Life On Mars
- Absolute Beginners
- Ashes To Ashes
- The Jean Genie
- Cracked Actor
- Little Wonder
- This Is Not America
- Fame
- All The Young Dudes
- The Man Who Sold The World
- Station To Station
- Starman
- Hallo Spaceboy
- Under Pressure
Encore
- I Dig Everything
- The London Boys
- "Heroes"
- Let's Dance (revamped intro)
- I'm Afraid Of Americans
「ハロー、エリ!ショウは楽しんだ?」
「ええ、もちろん!」
「素晴らしかったよ、君は凄いね!」
「ありがとう。」
私の声は上ずって殆ど聞き分けられなかっただろう。
「これが欲しいんだ。」
デヴィッドはそう言って身軽く私の肩を抱き、カメラマンの方に向きを変えた。カメラマンはすかさず私達のツーショットを撮った。そのカメラマンの隣には、別にビデオカメラを私達に向けた男がいたが、その時には彼がなんとデヴィッドの息子のダンカンであろうとは、その時には夢にも思わなかった。 私はデヴィッドに話し始めた。
「これが私の韓国からのお土産です。」
そう言ってチョコレートを渡した。
「どうもありがとう。」
「それと、これは、誰かが私にあなたに渡すように頼んだCDです。このカバーの人よ。」
「ああ、オーケー。」
私はすかさずバスキアのサウンドトラックのCDカバーを出し、彼にねだった。
「ここにサインを下さい。」
私の渡したペンが薄かったので、デヴィッドは、
「おや、これ読めるかい?誰か太いフェルトペン持ってない?」
「あ、私が持ってるわ。」
私の連れてきたシモネが出してくれた。持つべきものは友だ。
デヴィッドはサインを書き終えると、後ろにせかされてグループ写真の撮影をし、そして私から離れていった。私は暫くその場で余韻に浸っていたが、幕の外に出るように指示され、止む無く外に出た。 シモネは結局デヴィッドにフェルトペンを奪われてしまい、しばらくゴネていたが、私達はあきらめて屋外に出て、裏口からデヴィッドが出てくるのを待つことにした。暫くすると、挨拶を終えたデヴィッドが手を振りながら出てきた。私達は車に入る彼を見送った。 この後、再び「フェイセズ・アンド・ネームズ」で集まりがあったが、この日にはボウイネットのマークとハワードも来ていた。ハワードは私に言った。
「今回、デヴィッドは君の事を一番気にしていたよ。フライトはいつだとかチケットはどう取ったのかとか。面白かったよ。」
Roseland
の裏口から出てきたところ。皆に手を振る。私は信じ難い言葉にテレ笑いした。本当かな?本当だといいな。この夜が最高の夜だった。近くのほとんどの人達が私を見つけると目を輝かせ、祝福の言葉をくれた。私は異常な幸福感をもってホステルに帰り、一番安いベッドの上で最上級の夢を見た。 ニューヨークは夢をかなえる場所。 「ニューヨークは人が有名になる場所」とデヴィッドはコンサート中に言っていた。本当にその通りだろう。 Special Thanks to Mr. & Mrs. Minami for Web-Designing Assistance!!
下のリンクでローズランドのボウイコンサート写真を見ることができます。http://www.davidbowie.com/users/lalalinda/Bowie_Roseland.htm
このページにEriwildeは、6/19のページ写真、左端の上から三番目http://www.geocities.com/labynymf/bowieconcert.html
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